私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「吐かねぇつもりか?」

「ッ…」

「…ッチ、どいつもこいつも」

 キョウヤが秋奈から手を離す。

 床に倒れ込んだ秋奈は咳き込むこともせず床に倒れたままピクリとも動かない。

 瞬桜が動こうとするより前にキョウヤが瞬桜の前にたどり着いた。

「めんどくせぇ奴らだな!!」

「ッ!?」

 蹴り飛ばされた瞬桜が床に倒れ込む。

 起き上がる前にキョウヤは瞬桜を執拗に足蹴りにした。

 顔、体、手足、どこと言わずに重い蹴りを落とすキョウヤの目は血走っていて、瞬桜は次々に出される蹴りを避けられなかった。

 なんで、なんで2人とも…。

 目を逸らしたいのに、目は傷つけられる瞬桜と倒れたまま動かない秋奈を見つめていて、耳はキョウヤが瞬桜を傷つける音も、瞬桜が漏らすうめき声を漏らさず拾い上げる。

 やがて音は傷つける音だけになってしまう。

 気を失った瞬桜が何か言えるはずもないのにキョウヤは足を止めない。

 もういい。もう、これ以上2人を…大切な人を傷つけるのはやめて…。

 また涙があふれた時、閉じられていたシャッターがあげられて、見慣れた金髪が姿を見せた。

六花side END
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