夢の続きは隣の部屋で…

世界は狭すぎる

昨日は全然眠れなかった。

この壁を隔てた向こうにたっくんがいると思うと、気になって気になって仕方ない。


「もーヤダ!今は考えたくない!出かけよっ!!」

乃里花は引っ越してから家の片づけばかりしていたが、今日は朝から良い天気、気分転換に買い物に行こうと朝からシャワーを浴び、出かける準備をした。

東京に来たら着ようと買っておいた花柄のワンピースを身にまとい、高校生になるからと背伸びして買ったヒールの高いパンプスを玄関に出す。
地元のドラッグストアでとりあえずと買った化粧品をテーブルの上に並べ、スマホで検索したメイクサイトからトップページで紹介されている化粧方法を試してみる。

「ん~、、難しい。でもこれを毎日できるようにならないと…」

化粧自体は初めてではないが、友達と休日に遊び半分でしたことがある程度。もちろんアイラインなんか引いたことがない。
肌荒れ知らずの白く透き通った肌に、見よう見まねでファンデーションやチークをのせていく。

「うん、初めてにしてはなかなか!!」

一通りの化粧を終えると、乃里花は鏡の前でくるくると回ってニッコリ笑顔を見せる。

「私ももうすぐ高校生か~、楽しみだな♪」

昨日までのモヤモヤが嘘だったかのような、晴れ晴れしい気分。
乃里花はいっそのことたっくんのことを忘れてしまおうか。とまで思いながら、東京の街を楽しもうと家をあとにした。
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