夢の続きは隣の部屋で…
乃里花が住むマンションがある駅から、ファッションビルが立ち並ぶ中心街までは電車で2駅、新宿や渋谷ほどの賑やかさはないが、若者に大人気のおしゃれスポットだ。

「わ~、人がいっぱい!みんなお洒落~☆あっ、あの店テレビで見たことある!すごい本当にあるんだ!!」

すれ違う人、行く場所、すべてが新鮮で楽しい。乃里花は東京に来たんだ!!という気持ちにムズムズしてしまう。見るもの全てに大声をだして反応してしまいそうになる衝動を必死に抑え、平常心を装って歩く。

「わっ、私も東京人だもん、こんなんでいちいち驚かないもんねっ…ってあの店の店員さんが来てる服すごい可愛い~☆ちょっと見てこよっと!」

…慣れるのにはまだまだ時間がかかりそうだ。


「いらっしゃいませ~」

乃里花が衝動で入った洋服の路面店、女子大生をターゲットにしたファッションブランドだろうか、まさにここから流行を発信しています!といった雰囲気を醸し出している。

「わ~、かわいい~~」

店頭にディスプレイされた真っ赤なミニスカートに目がいく。
シンプルな白シャツとコーディネートされ、ひときわ存在感を放っていた。

「これ、今年すごく人気なんですよ。少し短いので好みがあるんですけどね~。良かったらご試着も出来ますがいかがなさいますか?」

目をキラキラさせながらスカートをじっと眺めていると、店員さんが声をかけてきた。

「あっ、はい!じゃぁ…って、あれっ?」

店員の誘いに乗るよう返事し、視線をスカートから店員にうつす。
目鼻立ちがはっきりとした綺麗な顔をした女性。茶色くウェーブがかかった髪を後ろでふんわりと束ねている。

あれっ、店員さんの顔、どこかで見たことのあるような…
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