夢の続きは隣の部屋で…
その瞬間、乃里花の瞳からは涙が溢れ出た。

「なんで…っ!忘れたって…」

「ウソ、ついてた」

「ウソっ?」

「…今の俺じゃ、お前に合わせる顔がねぇから」

「そんなこと…」

乃里花は言葉を詰まらせる。
ない。とはとても言えないくらいの出来事が、引っ越してから立て続けに起きている。


「でも、、お前と颯太が仲良くしているとこ見てらんねぇし、告白されたって知って…やっぱダメだわ、お前のこと諦めらんねぇなって」

「うん…」



「もし少しでも、乃里花が昔の俺との約束、まだ守りたいって思ってるなら…」

「思ってる!!12年前から、ずっと思ってるよ!」

畳みかけるかのように乃里花が言葉をつなげると、さすがの拓登も顔が真っ赤にそまる。

「そ…っか」

拓登は照れた顔を隠すように左手で自分の顔を押さえると、右手でゆっくり乃里花の涙をぬぐう。

そして軽く顎に手を当てると、乃里花の唇に優しくキスをおとした。


「今の俺じゃなんの説得力もないかもしれねーけど、、」

拓登は真っすぐ乃里花の瞳を見つめると、小さく深呼吸をして話を続ける。

「須藤拓登は、秋元乃里花のこと、
10年後も20年後も…ぃゃ、死ぬまで好きでいる」


「うん。私も、乃里花も、ずーっとずっと拓登のこと好きだから」


誰もいない公園、風に揺れる葉が、まるで当時にタイムスリップしたかのような錯覚を起こさせる。

「ごねんな、『須藤』にはなれそうにないけど…」

「たっくんのせいじゃないもん。私、『沢城』乃里花が良い」


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