ぼっちな彼女と色魔な幽霊
ドアがノックもなく勢いよく開くと、「どどどどど泥棒?」と、ママが包丁を持って現れた。
「ママ、変な人が部屋にいる」
一歩中に入り、部屋をぐるりと見渡して、わたしを不思議そうに見る。
「誰もいないじゃない? 大丈夫?」
「はっ?」
目の前にはベッドの上で、ママに向かって手を振る男がいるのに。
「ママちゃんと見て。ベッドの上だってば」
「いないでしょ、何も」
「不審者が!」
「この部屋の中のいちばんの不審者は、ひな子ね」
ぶっと、ベッドの上の男の子が吹き出して笑う。
「劇の練習?あんまりうるさくしないのよー」と、適当に受け流して出て行ってしまった。
劇ってママ。わたし、どこで発表するんだ。どこから来たんだその発想。