ぼっちな彼女と色魔な幽霊
16

お昼休み。

昨日の夜から姿を消して、まだ現れないヨウ。

不安げな気持ちで踊場で待っていると、「飯」と目の前に現れたから、泣きたくなるくらいほっとした。

いつものように、屋上でおにぎりを頬張る。

「最近ずっと天気いいなー」

「今だけだよ。これから梅雨だしね」

「じゃあ屋上にも来れなくなるな」

「雨降ったらさ、踊場で食べる? それか別の場所探す? ヨウならどこの鍵でも持ってこれるんだし」

そう訊くと、「んー」と、曖昧な返事をした。

ぐっと胸の奥がつっかえた感じになった。

『もしかして、そんなにここにはいられないと思ってるの?』

訊きたいけど、言葉に出来なかった。

「今日もあるのか委員会?」

「今日はないけど」

「じゃあさー。放課後、海行かね?」

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