ぼっちな彼女と色魔な幽霊
とりあえず事情聴取しろ、というヨウの命令を受け、美術室に向かった。
もうこうなると知らない人でも声をかけなければならない。
あいつめ。
「失礼します」と、美術室の中に入ると、いっせいに視線を浴びた。
恐い。
隣に立つヨウは腕組みをしながら、はよ訊けと命令する。
ああうるさい。
とりあえず、手前に座る女の子に声をかけた。
「ごめんなさい。忙しいのはわかってるんですけど、少しお話してもいいですか?」
「いいですけど」と、言いながら明らかに不審者を見るような目で彼女はわたしを見る。
ああ痛い。
「……実は友達がこの前、ここで幽霊を見たって言ってて。
なんかその日を境にその幽霊を学校とかで頻繁に見かけるようになって困っているんです。
もし幽霊の情報とか、噂とか、なんでもいいので知っていたら教えてほしいななんて思って」
言い終わると、きょとんとした。
何言ってんのこいつ、っていう顔。
吹き出すのをこらえているみたいで、恥ずかしくなる。
「幽霊……ですか?えっ、なんか知ってる?」と、周りの子にも話しかけるから、聞こえていなかったはずの子にも話が伝わってしまう。
もう文庫本とオカルト好きなニシミヤという噂が流れたら一貫の終わりだな。