ぼっちな彼女と色魔な幽霊
家についてから、今日も言われるがままおにぎりひとつを献上すると、ヨウは一度消えた。
幽霊ではなく神様だと思い込めれば、ストレスはきっと減るのかもしれないけど。
お風呂あがり、部屋に戻るとヨウがベッドの上にいたから、やっぱり驚いてしまう。
「あのさ。ただいまとかなしに現れるのやめてくれるかな?心臓に悪いんだけどっ」
「しょーがねーじゃん。ひな公、風呂入ってたんだし」
「そうだけどあんまり驚かさないでよ。只でさえ幽霊なんだから、気を遣ってほしいの」と、わたしはクッションの上に座った。
「そういやお前、あいつになんの本貸すの?」
「……あ」
二嶋くんに貸す本。
本棚の前に立ち、タイトルを見るけどどういうのがいいのかさっぱり検討もつかない。
気づくと隣にヨウがいた。
「つうか一緒に本選んだらいいじゃん。そのほうが仲良くなれるんじゃねーの。ひな子に必要なのって、そういうとこだろ?」と意味深な笑顔を向けられた。