ぼっちな彼女と色魔な幽霊
思いがけないことだったけど、もう少し話をしてみたかったから、頷いた。
図書カウンターの奧に図書準備室がある。
ヨウは「もう飽きたから先帰るな」と、手を振る。
勝手にしてくれ。
中に入ると、スチール机に向かう背中が見えた。黒い髪の男の子。よく見るとパソコンに向き合っていた。
振り返ると、シルバーっぽい細身のフレームの眼鏡をかけ、鋭い目つきで睨まれた……気がする。
「あ。こいつ、遠矢秀一(トオヤシュウイチ)。A組の図書委員。ちなみに俺と中学一緒」
「同じクラスの西宮です」と、恐々挨拶すると、小さくお辞儀をしてまた背中を向けた。
壁を背に資料を入れるようなキャビネットや本棚が置かれていて、中央には二人がけの作業机のようなテーブルが二つくっついてる。
パイプ椅子に座って、爪をいじくる才伽ちゃんがいた。
開かれた窓、風が入りパタパタとカーテンが揺れている。
彼女は「あっれーどうしたの?」と、わたしに気がついて驚いた顔をした。
「本のアドバイスしてもらったんだよ」と、二嶋くんは行って腰をかける。
隣の椅子を引いて、座ってと見上げるから、ゆっくり隣に腰をおろした。