ぼっちな彼女と色魔な幽霊

キスが終わると、唇と唇の間に橋をかけた。

えっと……。

初めてのキスをしたと思ったら、いきなりディープキスって、大人の階段駆け上がりすぎ!

ていうか、キスうますぎ!

絶対、生前遊んでたわ!

「おにぎりの為にキスしやがって、バーカ!」

「はっ?」

もういいと、枕を投げつけて、リビングまで駆け下りた。

ママが「今の怒ってる演技、気迫があって良かったわよ」と褒め、

パパも「演劇部に入ったのか?いやーパパも高校時代は演劇部でね。下町のピーターパンなんて呼ばれてたんだよ」なんて思い出話をしてくるけど、それどころじゃない。

娘は、大事なものを奪われました。

が、何も言えず、リビングの片隅で縮こまっていた。

部屋に戻ると、ヨウはいなくて、ベッドの中もからっぽだった。
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