こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!


5時間目のあと。


三人で教室に戻る。


「あ」

美郷が言う。


「?なに?」

「伊紅ちゃん。伊澄くん。」

美郷の視線の先には、伊澄。


「……先行ってて、ふたりとも」


「はーい」
「わかったわ」

二人が去っていく。


「伊紅」

「わっ!存在消して近くに現れないでよ!」


「普通に来たよ。聞こえてないだけでしょ」

「……うるさいなー」 


と言うと。

伊澄は真面目な顔をして。


「平気?」

と、言う。


さっきから、周りの視線を感じる。

きっとみんな、さっきの騒ぎのことを、見てたか聞いたんだと思う。


「なんか、注目浴びちゃったけど、うまくやる。心配しないで、伊澄。

私は、もう前とは違う。」


そう。

私は、変わったんだから。

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