こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!

「ねぇ、伊紅ちゃんっ!」

口を開かない私に、聞いてくる先輩。


「…………よかったです。先輩に何も傷跡が残らなかったなら。


…………では、お元気で。」


そう言って、お辞儀をする。

先輩には、私みたいな汚れた人とは、
関わってほしくない。



これで、いい。



「待って!」

腕が、引かれる。



「君には、傷跡が、残ってるでしょう?」




「!」


なんで、知ってるの?


伊澄にも、もう誰にも言わないでって、
言ってあるのに。


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