こんな嘘みたいな恋愛あるわけない!


「侑李、先輩………?」



「伊紅ちゃん!」



確信を持ったようにこっちに近づいてくる先輩。



前みたいな、かわいい顔じゃない。

身長も伸びて、大人みたい。

でも、均整のとれた顔は、相変わらず。



ああ、この人はちゃんと。

助かったんだ。



「伊紅ちゃん!なんであの時、俺をかばって……!

目覚めてからは伊紅ちゃんは学校に来てなかったし、家の親が伊紅ちゃんのところに
行かせてもくれなかったんだ…!」



私が伊澄に聞いた話では、
先輩が目覚めたのは、あの日の2週間後。


脳に相当なダメージがあったから。



でも、目覚めたなら、よかった。

ちゃんと高校生になれたなら、よかった。




キラキラなままの先輩で、よかった。

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