毛布症候群
右に倒れておいで。



あたしが小塚繭巳をマオと呼んでいるのは、猫みたいだと思ったから。その理由を話すと、マオは肩を竦めただけで、何も言わなかった。

その日は午後から天気が崩れて、折り畳み傘をロッカーに入れっぱなしにしていたことを幸運に思っていた。そんなことを考えないと、憂鬱で身体が重くなっていくばかりだった。

実際、この学校の学生が居眠りをする確率は半分くらいで、それは授業によっても違う。午後一番の授業が文系科目でお爺ちゃん先生なんかだと特に、危ない。

そしてあたしも例に漏れず眠ってしまった。


誰かに追いかけられている。息がし辛い。水の中にいるわけじゃないのに、酸素が少ない。

恐怖と悔しさが相まって涙が溢れる。



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