毛布症候群
慣れた手付きでそれを皿に盛る。隣でレタスを千切っていた人に呼ばれた。
顔を見上げると知らない男。
冗談を言われて笑う。「ついてきてよ」と真剣な声。
急にどうしたんだ、と気持ちが混乱する。
不安、嬉しさ、不安、緊張、優しさ。
身体の揺れで目が覚めた。停車した駅を見ると、ちょうど最寄り駅だった。
隣で座っている先生に声をかけようと視線を移すと、眠っていた。
外を見る。
雨が降っていた。さっきまで小雨だったのに、大降り。
自分の手が更に冷たくなるのがわかった。そして偏頭痛が襲ってくる。
「もうやだ……」
ドアが閉まります、とアナウンスがかかる。
最近見ないと思って調子に乗ってるからこのザマだ。目元を覆って泣きそうになるのを堪えた。