毛布症候群
爪を研いで眠らせて。

お察しの通り、風邪をひいた。

一学期の間どれだけ風邪をひいたら気が済むんだ、とマオに言われた。
それは朝お母さんに言われたばかり。

「明日来れんの? てかうつさないでよね、僕の成績が落ちたらどうすんの」

「試験が午前中だけで助かった……」

「良いから早く帰りなよ」

マスクをしながらふらつくあたしを見て、流石のマオも憐れんだ目を向けてくる。

試験を受けないと必然的に0点とみなされて、期末試験が辛くなるのは目に見えている。
あたしはただでさえ文系科目が苦手なのに!

ゆっくり靴箱に向かっていると、視線を感じた。

「硝子」

……何故名前呼びなのか。

問いただしたい気持ちは山々だけれど、あたしは軽く手を上げてその場を去りたかった。


< 97 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop