語り屋の 語りたる 語り物
登りきった先は、小さな踊り場だった。更に上へと続く階段がある。
白い大きな羽が一枚、ヒラリと床に落ちた。
まるで、足音の正体が
今しがた鳥か何かに変身したかのような錯覚に襲われながらも、イーザは再び階段を上った。
今度は大きな踊り場にでた。
そして、たった今閉じられた大きな門があった。
この門の先は、客席になるはずだ。
不審に思いながらも門を開いた。
思った通り、
そり立つ客席の、少し高いところにでた。
夕闇のなか、その一角で佇んでいたのが。
「…サーシャ」
予感は当たっていた。