この冒険、ちょっとハ-ドモ-ド過ぎません?
〔第4話〕初戦でいきなり四天王


『ほう、かわしたか。
偶然か?はたまた…』

私の数倍はありそうな巨大な牛型モンスターが私を見下ろしながらそう言った。
尻もちをついている私の足元の地面には巨大な斧がめり込んでいる。


うん、
一体何がどうなったらこんな事態になるんだろうか……。

え~と…確かソルトナに向かう道中で…
私はただ、晩御飯の材料にする獲物(小動物)をゲットする為の罠をこの森の中に仕掛けただけだった。

罠の作動音が聞こえたので、野うさぎでもかかったかなと心踊らせ駆けつけると、そこに居たのは…野うさぎでも小鹿でもなく、二足歩行のデカイ牛だった…

つ-か、モンスターだった。


そのモンスターは、私が仕掛けた足鋏を踏み潰しながら言った。

 『我は魔王直属の四天王が一人ディノタウルス。
我を罠にかけたこと…死をもって償え』

かかってないし、むしろ罠を壊してますが!?
とりあえず、顔めっちゃ怖いこの御方の御機嫌を全力でとらねば私の生命が危ういっ…!


『あの~すみません、四天王のディノタウルスさんでしたっけ?
やっぱ四天王となると人語が達者なんですね~。
凄いわ-憧れるわ-…………って、は!?してんのう!?
え!?アンタ四天王なの!?』

四天王といえば、魔王軍の大幹部であり、それぞれが一騎当千と呼ばれている程に強靭であることから人間に恐れられている存在だ。

その一騎当千の四天王が何でこんな山中で野うさぎの罠を破壊して凄んでんの?

そんな頭に巡る疑問に構わず、そのディノタウルスとやらは、持っていた斧を容赦なく私へと振り下ろしてきたのだ。


そして、現在に至る……。




『まあ、よい。
次で仕止める…』

ディノタウルスはそう告げると、斧を軽々と振り上げた。
あんなのを喰らったりなんかしたら、さぞかしグロい死にかたになるんだろう。
何としてでもそれだけは避けなければならない。

私は左手をかざし呪文を唱えた。
その瞬間、ディノタウルスの胸部に魔方陣が浮かびあがる。

『む…これは…』

異変に気がついても、もう時既に遅し…!
閃光と共にディノタウルスの胸部が爆煙に包まれた。


『フッ…油断したわね、四天王さん。
ただのか弱い小娘だと思ってたら大違いよ』

これぞ、私が大学で必死に訓練して会得した〔炎系魔方陣〕だ。
いくら四天王とはいえ、この魔方陣を喰らっては……

『で、死ぬ準備はできたか?
か弱き小娘よ』

全然効いてねぇえええええええ!!


ディノタウルスは、同じ体勢のまま悠然とそこに立っており、魔方陣が発動した箇所からは少し白煙が漂ってるくらいで、ほぼ無傷だった。

本編初披露の技が通じない…だと…?


『お~い、何してんだア-リッヒ。
早く肉を持って来いってミゼリアがうるせ…』

不意に、トキユメが茂みを掻き分けて現れた。
直ぐ様、斧を振り上げているディノタウルスと目が合う。
そして、ゆっくりと視線を座り込んでいる私へと移した。

『逃げて…トキユメ…』

涙目の私がそう声を発した時には、もうトキユメは腰の剣を抜き跳んでいた。

『ほう、手向かうか』

ディノタウルスは体勢を変え、自分へと突進してくるトキユメを迎え撃つように斧を構えた。



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