無糖バニラ
「翼、あの……」

「あれ……?」


薄く開いたまぶたが、ぱっちりと開いて、濡れた黒目に光が宿った。

あたしを見て、何度も瞬き。


「……は!?」


そして、ベッドの上でザッ!と飛び退いた。

え、ちょっと、まさかとは思うけど……。


「なんでお前がいんだよ!」


……寝ぼけてた?さっきの。

翼の顔が赤いのは、きっと熱のせい。


「……お見舞い」


翼の意思で、あたしの名前を呼んだわけじゃなかったの?

落胆を隠しきれない。


「いや、学校は」

「……」

「おい、目をそらすな」
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