無糖バニラ
「いってきまーす!」
ママに見送られ、あたしと翼は一緒に家を出た。
中学校までは、徒歩通学。
「このは、今日放課後暇?」
「暇だよ。何で?」
「母さんが、また店手伝ってほしいって」
「うん、行く!今日は何のケーキが貰えるかな~」
「ブタになるぞ」
「もう!」
「いてっ」
隣を歩く翼の後ろ頭を張り飛ばす。
少しの違和感に、叩いた自分の手のひらを見つめた。
……あれ?
「暴力女。……なんだよ?自分の手痛めたか?ざまぁ」
「可愛くない、翼ー!」