無糖バニラ
女子には遠巻きに見られるし……。

たまに、微妙な嫌がらせもされる。


「幼なじみとかじゃなかったら、このはレベルの子がそばにいるとか、ないよね」


あの、一言一句逃さずに聞こえてますけど。

当の本人、翼は全て無視。
それが何だか心強い。


「翼……、もう一緒に通学しないほうがいいかな?」


あたしがこっそりと告げると、


「お前、俺いないと起きれねーだろ」


弱いところを突かれた。

た、確かに……。


「ごめん……。翼の声、一番起きやすい」

「ばーか」

「!」


下を向いていたあたしの額に触れられ、くしゃっと前髪が歪む。


「このはは気にしなくていいんだよ」
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