無糖バニラ


「ねぇ、また翼くんとあの子一緒なんだけど……」

「付き合ってないって言ってたもん。あたしは信じる!」


学校に近づくにつれて、チラチラ見られながらのひそひそ話も、少し慣れつつある。

翼の背が伸び出して、声も低くなって、男らしくなってから、今までになかった周りの視線が痛い。


翼自身も、もちろんあたしだって変わらないのに、周りが変えていく。


そして、教室に入ったら入ったで、


「またお前ら一緒かよー!付き合ってんだろ?もうチューくらいした?」

「チューとか、言い方バカかよ!した?翼、どんな感じ?」


クラスの男子にからかわれる。

これも、最近ではもう日常だけれど。
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