無糖バニラ


「待って!待って、小嶋くん!」


チャイムが鳴って、すぐに教室から出て行った小嶋くんを追いかけて、呼びかける。


「なに?」


立ち止まって振り向く小嶋くんに近づけないまま、すこし離れた場所からあたしは口を開いた。


「あの、さっきの……」

「うん」

「助けてくれたんだよね……、ありがとう……」

「お礼とか言っちゃうんだ?」


ハハッと笑われて、たじろいでしまう。

面白いこと言ったつもり、ないんだけど。


「あの、でもね」

「俺とカップルにされて迷惑?」

「!」
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