無糖バニラ
「翼が内海と幼なじみだから、色々協力とかしてもらっててさ。昨日も一緒に帰ったから、内海が翼と相合傘するとかありえないよ」


あたしが口を開けないのを横目に、小嶋くんはいっぱい嘘をつく。

これは、助けてくれている……?


でも、これじゃあ……。


「なんだ、そうだったんだ。ごめんね、疑っちゃって」

「友達のために協力するとか、芦沢くんって優しいっ」


クラス中が、あっという間に和やかな祝福モードになっていく。
あんなに殺伐としていたのに。

相手が翼じゃないというだけで。


「恥ずかしいから黙ってようって言ってたんだけど、こんなんだったらもっと早く言っとけばよかったな」


小嶋くんの笑顔での演技に、あたしはうなずけなかった。
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