無糖バニラ
着替えてから……じゃ、もう行けない。

翼が帰ってきてるかもしれない。

翼には、一番見せちゃいけない。


あたしはボタンをしめ直して、制服のまま下に降りていった。



徒歩何歩か。

それだけで到着してしまう、お隣のケーキ屋さん。

胸に手を当てて、扉を開けた。


ガチャッ、リンリーン。


「翼!?……じゃなくて、このはちゃん、いらっしゃい」

「こんにちは」


切羽詰った表情の翼ママが、あたしを見て一瞬で笑顔を作った。
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