無糖バニラ
そして、どうしてこんなことに。
あたしは今、芦沢家のカウンターで、エプロンを身につけて、ひとり店番をしている。
ショーケースに並ぶ、種類たくさんのケーキが美味しそう。
しかも可愛い……。
翼ママは、今日入っていた大口の注文のため、翼パパのいる厨房に。
家族経営のこのお店は、普段はパートのおばさんを入れて、3人で回している。
それが、パートさんが前々から入れていた休みと今日の注文が重なり……。
そんな説明をされてしまっては、断れない。
中学の時は、しょっちゅうお手伝いに来ていたわけだし、尚更。
しかも。
――『終わったら、いっぱい美味しいケーキもあげるね!』
そんなことを言われたら。
断れない。