無糖バニラ
「……間違った」

「は?」


上手く言葉が続かない。

少し話しかけるだけでも、たくさんの勇気が必要なことを、翼は全然分かってない。


困って、店内を見回すと、真ん中のテーブルに置いてある焼き菓子コーナーが目に入った。


「あれ?今日バニラクッキーないの?」

「……ああ」


バタークッキー、ディアマンクッキー、フィナンシェやマドレーヌは並んでいるのに、バニラクッキーは無い。


「そっかー、あたし、あれ一番好きなのに。残念」


翼ママからのお礼で、あわよくばそれも頂けないかといやらしい考えもあったのに。
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