無糖バニラ
「おはよう、内海」

「あ、おはよう……」


小嶋くんに声をかけられ、そばまで来ていたことに気づいた。

今の顔、見られてないかな……。


「昨日は、付き合ってくれてありがと」

「ん?」


昨日……。

そうだ、放課後にアイスを食べに行ったんだった。

おごられたくせに、すぐに思い出せないとか、人としてどうなの……。


それで、次はあたしがおごるからって言ったんだよね。

次か……。

早めに約束をしてしまえば、気持ちが揺れなくて済むかもしれない。


「小嶋くん、次にあたしがおごるって話なんだけど」

「ねえ、仁奈さぁ、最近ちょっと馴れ馴れしすぎない?」


話を切り出そうとした時。

一際(ひときわ)大きくて、イラだつ様子の女子の声に、あたしたちは同時に目を向けた。
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