無糖バニラ


さっきのあれは、なんだったんだろう。

あたしは教室に着いて、自分の席でじーっと翼を見ていた。

仁奈は、翼と登校したくて一緒にいたというよりも、あたしと小嶋くんを別れさせて翼とくっつけようとしていたように見えた。

……って、そんなわけないよね。

今だって、翼を囲む女子のひとりになっているわけだし。


「芦沢くんって、いつもあの時間に学校行くの?」

「まあ、大体は」

「じゃあ、偶然会ったら、今日みたいにまた一緒に登校してもいい?」

「別にいいけど」


また、なんかモヤモヤする……。

あそこに混ざる勇気もないくせに。
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