プリズム!
「嘘。買ってくれたんでしょう?ちゃんとお金払うよ」

「い…良いよっ。俺が勝手に買ったんだしっ。俺が誘ったんだからさ」

「でもっ…」

入場券ともなれば、学生であってもそれなりに金額は掛かる。

こう言っては何だが、雅耶はバイトもしている訳ではないし、変に負担を掛けたくはない。


自分は雅耶と一緒に出掛けられるのなら、何処でも嬉しいのだから。


だが、雅耶は不意に大人びた表情を見せると静かに言った。

「それに、実はコレ…俺からのクリスマスプレゼントの一環なんだ」

「え…?」

「俺がね、夏樹を連れて行きたいなって思ってる場所がここにあるんだ。だから今日は、そこまで付き合って欲しいんだけど…いいかな?」

そう言って、雅耶は足を止めた。

それに合わせるように夏樹も自然と立ち止まった。


自分は雅耶のこういう表情に弱い。


それを知ってか知らずか、雅耶はじっと静かにこちらを見下ろしてくる。

「う…うん、勿論。それは…いいけど…」

それ以上は何も言えずに頷くと、雅耶は満足気に笑みを浮かべた。

「じゃあ、行こうか」

そうして再び歩き出すと、駅構内へと足を踏み入れて行った。


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