プリズム!
そうして『少年』は、高校生へと成長し…。


男子校である成蘭高等学校へと入学したことで、保健医である清香と出会うことになる。

その後、ある事件に巻き込まれたり、様々な出来事が夏樹(ふん)する冬樹の身に襲い掛かるが、ある時、事態は思わぬ急展開を迎えた。

何と、兄の冬樹が生きていたのだ。


そこを語るには、様々なドラマがありすぎて(?)簡単には説明しきれないのだが、()にも(かく)にも、夏樹は無事に『少年』から『少女』へと戻ることが出来たのである。


そして、とうとう明日からは、夏樹として新たな学校生活がスタートする。

私立成桜女学園高等学校へと、転入することが決まったのだ。


成桜(せいおう)女学園は、その名の通り女子校である。

男子校から女子校へ。

その大きな環境の違いに多少の不安はあるものの、夏樹が何よりも心配なのは自分自身のことだった。

自分が女の子として果たして上手くやっていけるのかどうか。

それこそが、一番の問題点であり不安要素だった。


夏樹が以前『冬樹』であった時に、何故敢えて危険度が増す男子校を選んだのかというと、その理由は『女子がいないから』で。

同年代の女子を見ているのが辛くて、関わることから逃げたのだ。

『もしも、自分が夏樹のままだったなら…?』

そんなことを少しでも考えてしまう自分が許せなかった。

彼女達の中に『夏樹』の影がチラつくのが苦痛だった。
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