姉妹ものがたり
「木田さん、そんな顔もするんですね…。おれ、ちょっとちびるかと思いました」
「くだらないこと言ってないで、三上も早く帰れば。次のテストで補習の教科が半分以上だったら、バカが移りそうだからもう二度と会わない」
「なっ!?じゃあおれは、弥生さんへのこの熱い想いを誰にぶちまけたらいいんですか!!」
「知らないよ。本人にぶちまけたら」
背を向けて歩き出す木田を追いかけるように、慌てて鞄を掴んで立ち上がる。
「ちょっと待ってください!!おれには木田さんしかいないんですよ!お願いだら見捨てないでください!おれには木田さんが必要なんです!!」
必死に声をかけ続けると、半歩前を歩いていた木田がピタッと足を止めて振り返る。
ぱあっと笑顔を浮かべたのも束の間、振り返った木田の顔は驚く程真っ赤に染まっていた。
「どうしたんですか?木田さ…」
グイっと胸ぐらを掴まれて店の隅に連れて行かれると、そのまま壁に押し付けるようにグイグイと締め上げられる。
「き、きださん…締まってます!締まってますから!!」
死に物狂いで訴える声に、ようやく木田の手が緩まる。