姉妹ものがたり


「なにあんた、また来てたの?最近の中学生は随分暇なんだね」

「今日は日曜日ですから。おかえりなさい、菜穂さん」


笑顔で菜穂を迎えると、その後ろからもう一人、ひょっこりと顔を出した人物に驚きで目を見張った。


「さっきそこで会ってさ、あんたら姉妹揃って暇なんだね」


クスッと笑ってこちらを見つめる弥生は、何時もと変わらない笑顔だったが、棗の話を聞いたあとだと不思議と何時もと違って見えた。


「お迎えも来たことだし、そろそろお帰りの時間かな?」


視線を移せば、棗が軽くウインクしてみせる。


「お迎えとか…幼稚園児じゃないんですから一人で帰れます。お姉ちゃんだって、今来たばっかりだし」


ゴニョゴニョと口の中で呟きながら、そっと弥生の方を伺う。
未だ笑顔のままの弥生は、ザーッとパンを眺めると、適当に五つ程見繕って棗に差し出した。


「これをお願いします」

「はい、ありがとうございます」
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