姉妹ものがたり

満面の笑顔で受け取った棗が、素早く会計を済ませてパンを袋に詰めていく。
商品を受け取って、振り返った弥生がにっこり笑って口を開いた。


「どうせ姉妹揃って暇なんだから、たまにはおやつのパンでも食べながら、いっぱいおしゃべりしよっか、さつきちゃん」


何気なく差し出された弥生の手をしばらく見つめ、僅かにためらった後に、おずおずと手を重ねる。
思えば、弥生と手を繋いだのなんて、保育園の時以来だ。


「あたし…ね、ココアが飲みたいな。…できればホットのやつ」


さり気なく体を密着させて、幼い子供のように繋いだ手に力を込める。


「じゃあ、帰りに買って行かなくちゃね。菜穂ちゃん、棗くん、お邪魔しました」


軽く手を振る弥生に、二人はほぼ同時に頭を下げて「またのお越しを」と声をかける。
並んで店を出る二つの後ろ姿を眺めて、棗がそっと口角を上げた。


「あの二人ってさ、ほんとそっくりだよな」


その様子を眺めて、菜穂が呆れたようにため息をついた。


「今更すぎだろ、それ」
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