恋愛と失恋の果てに。

思わない言葉に心臓がドキッと高鳴る。
何かの冗談?でも目は、真剣だ。

「あの……それって……」

「出会いの仕方は、あれだったけど
今日一緒に居てとても楽しかったし、君の
魅力を知ることが出来た。お見合いとか無しで
君と恋愛がしたい」
阿部さんが私に告白をしてきた。

正直一瞬戸惑った。
阿部さんは、とても素敵な人だ。
こんな人が彼氏になってくれるのなら
ありがたいことだろう。

両親だって喜んでくれる。

でも……それでも私の頭の中には、
課長の顔が浮かんでいた。
私は、課長のことが諦めきれない。
まだ好きだから。

なかなか返事を言わない私の態度に
阿部さんは、
「すぐには、返事を欲しいと言わない。
無理時は、いけないからね。でも、
たまに、こうやって会ってお互いを知ってから
返事を聞かしてくれたらいいから。俺は、
気長に待つし」
そう言って気遣ってくれた。

彼は、反省して
ちゃんと私の意見を尊重してくれようとしていた。
こんな私にでも

課長と梨々花ちゃんのツーショットが浮かぶ。
叶わない恋ならいっそう……

「わ、分かりました」
私は、彼の意見を受け入れた。

「本当!?やったー良かった。
また強引だと言われて断られたらどうしょうかと
内心ヒヤヒヤしていたんだ。あー良かった」
嬉しそうに笑顔を見せてくれる阿部さん。

表現が素直な人だな。
その姿にクスッと笑いながら
自分の気持ちに蓋をした。

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