夏を殺したクラムボン



浜田 優一の葬式は、死体発見から1週間後、曇天の日に行われた。



彼の葬儀には4組のクラスメイトたちも参列し、そこには成海や周の他、詩織や莉央、窪田の姿もあった。



しかし、クラスメイトの誰も彼の死に顔を見た者はいなかった。





彼の顔を見ることは、参列者の誰一人として許されなかったからだ。





焼香をし終えた成海はぼんやりとした面持ちで、前列に座る浜田の両親に目をやった。



彼の父親は虚ろな目で、浜田がにこやかに笑っている遺影を眺めている。一方で母親は憔悴しきった様子で顔を落とし、数珠をじゃりじゃりといじり続けていた。



出棺後、葬儀場に残った生徒たちは声をひそめて不安げに言葉を交わす。



「……ニュース見た?」

「最近はどこのニュースでもやってるよな。“M市中学生殺人事件”」

「……死体、バラバラだったんだって。だから顔が見えないんだろ」

「犯人は絶対ずっと……を殺してた奴だよね」

「それしかない」

「誰だよ、それ」



「このクラスにいるじゃない。
 魚を殺したかわせみが――」



周は一人、全員から数メートル離れた場所で葬儀場に飾られた花を見ていた。



……疲れたな。



成海が側にあった簡易のソファに座ると、誰かが泣き声を漏らして彼の隣に座る。



目を赤く染めた、窪田 和樹だった。



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