夏を殺したクラムボン
「なぁ、成海」
窪田の喉からひどく掠れた声が絞り出される。
「……殺されたんだよな。浜田」
「……うん」
「ノリが良くて、すげえ、いい奴、なのに」
「……うん。浜田はいい奴だった」
次々に涙を溢れさせる窪田とは対照的に、成海の表情は冷めていた。
成海の目には、世界がいつもより鮮やかに、そして何よりも無機質なものとして映っていた。
「オレ、殺してやりたい。浜田を殺したやつを」
窪田の制服は普段とは違い、首元のボタンまでしっかりと止められていた。
「……そう」
成海は返事をし、腕を組んで背もたれに身を任せ天井を仰いだ。白い天井には汚れ一つなく、死のあっけなさを実感する。
……人間は、すぐに死ぬんだ。
その時、子供のように喚く女子の泣き声が聞こえ、成海は窪田と同じ場所に目を向けた。
ホールの中央から少し離れた場所で女子数人に囲まれて、真木 莉央が床につくばい、泣きじゃくっていた。
「……あぁ」
窪田がひとりごちる。
「……真木、浜田が好きだったんだってな」
普段の聡明な彼女の面影はそこになく、莉央は狂ったように取り乱している。周りの女子は背中をさすって莉央を慰めているが、一向に効果はないようだった。
成海は立ち、周に歩み寄る。