シンデレラは恋に臆病
「……まだいたのか?」

いちゃ悪いって顔だな。

でも、遊んでいた訳ではない。

「安田さんに至急で頼まれて、工場に在庫台数の確認を取ってたんです。新規顧客らしくて……」

ムスッとした顔で状況を説明すると、伊達さんは顎に手を当て誰もいないデスクに目を向けた。

「他の営業事務は?」

「吉沢さんは短時間勤務ですし、大塚さんは用事があって帰りました」

大塚さんは……多分習い事だろう。テニスラケットを持ってきてるし、定時になるとすぐに帰る。

でも、そのことはあえて伊達さんに言わない。

チクるみたいで嫌だし、波風は立てたくない。
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