あの夏に僕がここへ来た理由
僕の思考回路が正しければ、ここは天国ではないし、僕は死んでいない。
そして、隣でぽかんとしているこの女性は、一体誰なのだろう?
ここは防空壕なのだろうか?
でも、ひとつだけ確信できることがある。
僕は生きている。
生きているんだ。
嬉しくて立ち上がった海人に、ひまわりは驚いて一緒に立ち上がった。
「初めまして、僕は木内海人と申します」
声が出る喜びに、海人はつい彼女の手を握ってしまう。
「は、はじめまして、田中ひまわりです」
海人はぽかんとした顔で固まっている彼女はもしかしたら天使なのかもしれないと真剣に思っていた。
でも急に海人の頭に戦場の光景が浮かんできた。
さっきまで死に物狂いで戦っていたあの地獄が。
僕は頭がおかしくなったのか?・・・
でも仮に僕が生きているのだとすれば一体ここはどこなんだ?
そしてこの綺麗な女性はなぜ僕の近くにいるのだろう?・・・