あの夏に僕がここへ来た理由



その後、海(わたる)とひまわりは連絡を取り合い、半年も待たずに、結婚した。


ひまわりは、海人との出会いは、ずっと胸の内にしまっている。


海人は、70年以上も前に死んでしまった。
そんな彼が私の元へ来てくれた奇跡を誰も信じないだろう・・・

だからこそ、大切に私の心の奥にしまいこんだ。

海(わたる)が、海人の生まれ変わりだとしても、私は驚かない・・・
私の心が海人を受け入れ、そして、海(わたる)を受け入れたのだから・・・


Reincarnation、輪廻転生、再生、生まれ変わり・・・

肉体は滅びても、魂は永遠に生きる。
そして、再び別の肉体に宿り、この世に戻る。

世界中に色々な言い伝えや諸説が数多く存在するように、海人が残してくれたあの言葉は、私を海人の魂へと導いてくれたのかもしれない。


「絶対、この時代の誰かに生まれ変わって、必ず、ひまわりを見つけるよ・・・」






そして、ひまわりと海(わたる)は、かけがえのない命を授かった。
ひまわりのお腹の中で元気に育っているこの小さな赤ちゃんは、きっと、男の子だろう・・・

二人でもう名前は決めていた。



「佐藤 海人」




< 224 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop