顔とお金で世の中は廻っている。
あの日の出会い
僕は秋田県の一番小さな町で生まれた。辺りは田んぼだらけで何もなく、一学年三十人二クラスの小中高エスカレーター制の人も少ない町だ。誇れるものと言えば全国からなぜか買いに来るほどの有名なお餅屋さんと願人踊り、三大盆踊りのひとつの一日市盆踊りくらいだ。

僕にとっては無意味なものにしか感じないのだけれど町の役員たちはないものから頑張っていいところをPRして町の復興を目指し頑張っている。

当然、どんなに頑張ってもこんな何もない、つまらないこの町が復興することはなく過疎化の一途を辿っている。

そんな娯楽も人もいない町で育った僕は中学校までは目の前にある現実が全てだと思っていたからこの何もない、人もいない生活が当たり前だと思っていた。

そこそこいい容姿と人並みのコミュニケーション能力のおかげで学校生活上で友達には困らなかったし、部活でやっていたバスケットボールとアニメや漫画とゲームのおかげでプライベートも退屈ではなかったので生活に特に不満を持っていなかった。

だから僕はずっとこの何もない小さな町でずっと死ぬまで生きていくものだと思っていた。彼女と出会うときまでは・・・・・・。
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