顔とお金で世の中は廻っている。
それは高校二年生の修学旅行のときのことだった。
自由時間に特に行きたいこともしたいこともない僕は東京をひとりぶらぶら歩いていた。
いろんな店があって人もいっぱいいて栄えてはいたがこれと言って憧れも興味もなくただただうっとうしいと言うのが正直な感想だった。
 お腹が減った僕は近くにあったお洒落な喫茶店に入った。そこは僕のいる町の喫茶店とは違いぎゅうぎゅうに詰められた豚小屋みたいに人がうじゃうじゃいた。
 「お客様、只今相席となっておりますがよろしいでしょうか?」
 カウンターで店員にそう話しかけられ、お腹を満たせればよかった僕は二つ返事で相席を了承した。
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