初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
「じゃあ行こうか」

うん、と答えて、明里ちゃんといっしょに目的のお店まで向かう。


今日はこれから、小学校一年生の時の同窓会だ。
卒業してから何回か同窓会をしたことはあったけど、ここ数年はまったくなかったから、あのころのみんなで集まるのは本当に久しぶりで楽しみだ。


それに、それに……。


「まさか、柊一が来るなんてね」

ニヤッと笑いながらそう言う明里ちゃんに、私は「うん……」と弱々しく答えた。さすがに今さら柊ちゃんとどうこうなんて考えているわけじゃないけど、今の柊ちゃんに会えるというのは、純粋に緊張して、恥ずかしかったから。でも、うれしい。


新堂 柊一(しんどう しゅういち)くんは、私とあのころクラスがいっしょだった。
出席番号が近かったのもあり、すぐに仲よくなって、よく遊んだ。
明るくて、友だちが多くて、頭もよかった柊ちゃんが、私の初恋の相手だった。
そして柊ちゃんも、私のことを想ってくれていた――……。

まあ、よくある話といえばそこまでだよね。
本当は文通とかしたかったけど、担任の先生もあのタイミングで転勤になっちゃって、柊ちゃんの新しい住所がわからなかった。
なんて、今さらなんだっていいんだけどさ。


「でも、ほんとにびっくり。一年間しかいっしょにいなかったし、今までも同窓会には来なかったから。なんで今日は来てくれるんだろ? 明里ちゃんはなにか知ってるんだっけ?」
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