ズボラ女が恋する瞬間
「なら、泣くときは貸してください。三浦さんの胸」

「どうすっかなぁ。俺の女になるなら、無条件で貸してやってもいいけど」

「嫌です。三浦さんの女になんてなったら、苦労するだけじゃないですか」


モテる男なんて、お断りだ。

今日みたいに女と一緒にいるのを見て、モヤモヤしたり、イライラしたりして、一々振り回されるなんて御免だ。


「なったこともねぇのに、言い切るじゃん」

「仕事上ですけど、それなりにお付き合いして来たんで」

「そうかよ」


クスッと笑い、三浦はあたしから離れる。


「お前には、もう貸してやんねぇ」


イタズラっぽく、舌を見せる三浦に笑みが零れた。


「笑えるなら、大丈夫だな」


そう言うと、ポンポンッと頭を撫でられる。

< 121 / 253 >

この作品をシェア

pagetop