ズボラ女が恋する瞬間
「どうだろう。今まで一度も行ったことないから、誰が来てるのかもわからない」

「なのに、なんで今回は行くんだよ」


なんでって・・・


「特に予定もなかったし」

「なら、予定作れば?」

「え?」


大翔の意味不明な言葉に、あたしは首を傾げる。


「予定があれば、行かねぇんだろ?」

「そうだけど・・・もう行くって、美緒が伝えてるし」

「あっそ。なら、行けば」


さっきまで中々手を離さなかったくせに、今度はあっさりと手を離される。

離してほしいと思っていたが、離されたら離されたで少し寂しい。

あたしは、どこぞの女子高生かよ。

なんて、独り呆れる。


「じゃ、また会社で」


荷物を手に取り、振り返ることもなく、大翔の部屋を出た。

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