小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
マユのウーロン茶と私のオレンジジュース。

入り口側に座ってたマユはオレンジジュースを手に取ると私に渡してくれる…と思ったら…。


「はいっ!これナナのね!ユウくん渡して?!」


なぜかユウくんにパス。

なんで余計なことを〜…。

私の心の叫びをよそにユウくんは気だるそうにオレンジジュースを受け取り、私に差し出した。


「……ホラ。」


……怖いんですけどぉ〜!


「あ…ありがと…」


私は恐る恐るそのグラスに手を伸ばした。


「キャッ!!」


――バシャッ!


……冷たい……。


隣には唖然と自分の濡れたズボンを見下ろすユウくん。


「…ごめんなさいっ!!!」


「あちゃ〜!ナナってばドジ〜!」


マユは笑いながらおしぼりを渡す。


でも…


私の耳には回りの音は届いてなかった。


ドクン…

ドクン…


胸の鼓動が激しく鳴り、回りの音なんてかきけした。


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