小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
とぼとぼと歩きながら頭に浮かぶのはハルトのことばかり。


恨む気持ちなんてこれっぽっちもなかった。

ただ、ハルトと過ごせなくなることが信じられなかった。

大好きだから、

恨んだりできない。

大好きだって言ってくれたから、

諦められない…。




帰りたくないなぁ…。


家に帰ったらもっと辛くなる。


机の上の写真立ての中のハルトと私の幸せそうな笑顔。

私が欲しいと言ってたのをハルトが内緒で買ってきてくれたケアベアの大きなぬいぐるみ。

ふたりで選んだCD。


…今は見たくないものばかりだよ…?


ここから家までは電車に乗らないとならない距離。


でも…歩こうかな…?


私は駅を通りすぎ、人気のない市道を歩く。






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