管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)
慌てて部屋から飛び出すと、階段の下に蒼真がいた。ドアを開けた音で少し振り向く。
外からの侵入を防ぐためと目隠しに、一応、大人の胸くらいまでの囲いがあるので、南科の部屋からそのまま外へは出られなかった。
ハッとなり、涙を拭う。
「と、どうしたんですか?こんな時間に」
夕食を終えて帰って、なのでそこまで遅くはないけれど、日が落ちると肌寒かった。
「涼んでただけだ。星もきれいだしな」
わけもわからず涙が溢れ、思わず顔を背けた絢。
「……へ、部屋から、見ればいいじゃないですか」
「ここで見るのがいいんだよ」
いつもは嫌味や皮肉ばかりの口調なのに、やたらと声が優しく響く。
「失礼します」
帰ろうと後ろを通りすぎようとしたが、
「……安心しろ。一人では出ていかねえから」