管理人は今日も憂鬱(イケメン上司と幽霊住人の皆さん)



「南科の彼女だった」


「えっ!?」


「たまたま機会があって、俺に相談してきたんだ。南科が浮気してるみたいだけど、どうしたらいいかって」


「そのうちに、花井が俺と浮気したって思い込んで問い詰められて、追い込まれて、自殺したそうだ」


「蒼真さんと、慶一郎さんはどこで知り合ったんですか??」


「15年くらい前、あのハイツに、いっとき一緒に住んでたんだ。3人それぞれ別の仕事場で」


「そんなに前からですか??でも覚えてなさそうでしたよ」


「そりゃそうだろうな。俺は覚えられるほど、ほとんど顔も合わせてない」


「引き籠ってたんですか??」


「まだ、大学生だったんだよ。夜勤のバイトとかしてたし」


部屋はほとんど寝るだけだ。


「南科が彼女を一目で気に入ったみたいで、誘ってる姿はよく見かけた」


「その頃からあんな感じなんですね」


かつて好意を持ったとは思えない言いように、ふっ、と口元がほころぶ。


「そのことも含めて、解決してからじゃないと、あそこは出られない。というより出ちゃ行けねえんだ」


だから頑なに出ていくことを拒んだのだ。


「南科のことだから、美人だし、名前が被ってるのも運命感じるとか言ったんだろ」


想像はつく。


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