いるりを見たら思うこと

それは東河原さんに限った話ではなく、同級生数人にもなぜか驚かれた。

普段、そんなに意識してるわけでもないくせに、興味本位で話しかけてくるので、面倒くさかった。

「夜一」

昼休み。珍しく、いるりが俺に話しかけてきた。

「なに?」

「ちょっと、ツラかせよ」

「ツラ?」

「いいから。ツラかせ」

偉そうに、なんだ。喧嘩でもしたいような口調。ずかずかと、がに股で先を歩く、彼女の後ろを着いて行った。

その先は、屋上だった。

扉を開けた瞬間、大空が目の前に広がってびっくりする。普段とは違う位置に同じものが見えるとは、こういう心理かと、妙に納得してしまいそうだった。
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